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独り言の効用 1-2

 1-2. 独り言という謎解きゲーム

 五感から独り言をチェック 色彩から 

 それでは、今度は独り言の発生を五感から意識してみます。普段、現実を五感によって捉えていますが、それと同じように独り言を五感から見てみます。色、匂い、音、味、感触から独り言を調べてみます。

 まず、視覚ですが、目に見えるものの色をチェックしてみます。すべてのものは何らかの色を有していますので、自分の周りにある家具や箪笥、壁や窓、机や椅子やベッド、コップや皿などの色を一つずつ目に入れていきます。できるならば、間取り図のようなものを描いて色鉛筆などでどんな色がどんな具合にどこに広がっているかを描き込んでみると、より一層分かり易いです。それが、普段の色の見え方になります。独り言が発生していない平常時のカラーです。また、着ている服の色も同時に確認しておきます。

 そして、独り言が発生した時にこの色彩が変わるかどうか確認してみます。自分の周りに広がるいつもの色が独り言を始めることで劇的に変化するということはないと思いますが、独り言最中に特に目に付く色というのはあるかもしれません。何色が際立って見えるか確認してみます。どんな色に目が惹きつけられるか見てみます。

 さらに周囲に実際に存在するものの色だけでなくて、独り言を発している時にどんな色が頭の中で見えているかも探ってみます。今の独り言を色で表すと何色になるか考えてみます。独り言の内容などは全く気にせずに、色としての側面だけに意識を向けます。そうすると、何かしらのカラーが見えてくるだろうと思います。

 もちろん、独り言が止んだ後の色の見え方も感じてみます。部屋の中を見渡してみて、独り言の前と後とで何か色彩に変化がないか眺めてみます。一人でつぶやく行為を通過することで以前と違ったカラーで見えてくるものがないか探ってみます。ひょっとすると、前は気づかなかった色が目に留まるかもしれません。また、着ている服の色も再度、確認してみます。

 とにかく、すべてを色として感じてみます。色で独り言のすべてを表現してみます。そうなると、色として自分の独り言を捉えるために絵を描くのも一つの手だと思います。自分の独り言はどんな色彩に溢れているのか絵の具を使って描いてみます。独り言を色として絵に落とし込む作業は興味深いですし、楽しいです。

 独り言は、日によって、時間によって、場所によって、対象によって、内容によって、理由によって、状況によって、要は5W1Hによって変わってきますから、その都度、イメージされる独り言の色も変化してきます。それをノートなどに青、赤、黄色などと書き記していっても、実際に見えている青が本当はどんな青色なのかを書き残すことは難しいです。同じように青く見える独り言が二つあっても全く同じ青ではないはずですから、そのカラーを捉えるためには色をそのまま絵で描いてしまったほうが良いように感じます。

色の視点から独り言を見ながら、色による独り言分類も試みてみます。同色系のカラーを有する独り言にはどのような共通点があるか、暖色系と寒色系ではどんな相違点があるか、カラーでない白黒の独り言も存在するか、などと見ていきます。ある程度、自分の独り言の色のデータが集まってきたら、色の頻度、傾向、パターンを掴んでみます。さらに、全く自分の独り言に現れ出て来ない色があるかも見てみます。そして、どうしてその色の独り言が自分には存在しないのかと理由を考えたり、自分のところには出現しないカラーの独り言とは一体どういうものであるかと想像したりするのも面白いです。

 色だけに焦点を当てることで自分の独り言のまた違った面が浮かび上がってきます。ひょっとすると、平時の自分の周りに広がる色の配置を変えるだけで独り言のカラーが違ったものになるかもしれません。家具やテーブルや箪笥の場所を変えて部屋の色のバランスを変化させることで、独り言の色がどうなるか実験してみるのも楽しいです。

 五感から独り言をチェック 匂いから 

 次は、匂いです。独り言と匂いの関係に目を向けてみます。ある匂いや香りに誘発されてある記憶や思い出がよみがえってくることがあります。何かの香りを嗅ぐことでぱっと目の前にイメージが広がってきたりします。また、ある匂いによって穏やかな気持ちになることもありますし、別の香りによって不快な気持ちになることもあります。

 そんな効果をもたらす匂いが独り言に影響を与えていないわけはないでしょうから、香りと自分の独り言の結びつきについて少し調べてみます。まずは、独り言が発生する前の部屋の匂いを感じてみます。どんな匂いが広がっているでしょうか。何か物を食べていたり、アロマを焚いていたり、煙草を吸っていたりしないかぎり、それほど強い香りはしないかもしれませんが、無臭ということはないですから部屋の中に僅かでも存在する匂いに意識を集中してみます。自分の部屋のベースになる香りを覚えるようにしてみます。匂いを記憶するという作業を行なう機会もそうそうないですから、それ自体、興味深いことだと思います。

 ある程度、自分の部屋の匂いというものを掴めてきたら、今度は独り言最中にその匂いに何か変化がないか確認してみます。そんなことをしているとメインの独り言のほうがおろそかになってしまいそうですが、幸いにして何度も何度も独り言は訪れてくれますから問題ありません。独り言を終えた後に何か匂いに違いがないかも意識してみます。

 さらに、誰にでも好きな匂い、嫌いな匂いというものがありますので、それらの香りが自分の独り言にどのような影響を与えるかもチェックしてみます。独り言が始まる前に好きな香りを嗅いだ場合と嫌いな匂いを嗅いだ場合とでどのような違いが独り言に起こるのか調べてみます。部屋に広がる香りが変わるということは、自分の周りの環境が変化することです。外部環境から全く切り離された独り言というものはないと思いますので、匂いが変われば自ずと独り言の質と量も変化するはずです。強い匂いをあえて試してみるのも手だと思います。また、記憶を呼び戻す匂いを嗅ぐことで独り言もその思い出に関するものになるか見てみます。懐かしい匂いというものが誰にでもあると思いますので、その香りからどんな独り言が発生するか確認してみます。

 そのように匂いと独り言の関りを自分なりに調べてみて、次は実際に自分の独り言の匂いを自分で作り出してみます。そのために、まずは自分の独り言に近い既存の匂いを探してみます。もちろん、独り言の匂いも5W1Hによって変わってくると思いますので、午前中の独り言の香り、午後の匂い、深夜の香りと区別して既存の匂いで似ているものを見つけ出していきます。午前の独り言はラベンダーの香りに近い、午後のはヒノキの匂いっぽい、深夜のは草刈りの匂いのようだと目星を付けていきます。

 そして、似ている匂いをもとにして実際に自分で自分の独り言オリジナル香水を作ってみます。確かにこの独り言中にはこの香りが漂っていたと思えるような匂いを自分の手で作り出してみます。なかなか思い通りの自分の独り言の香りにはたどり着けないかもしれませんが、独り言オリジナル香水作りの作業自体は楽しいものだと思います。それに、もし作り出せれば、その匂いを嗅げば自動的にある種の独り言を引き出すことができるようになるかもしれません。それは匂いに誘発された独り言のベースの香りを手にしたことを意味するかもしれません。

 そうなると、この独り言を発したいからこの香りを嗅ぐという独り言への介入が臭覚からも可能になってくるだろうと思います。無意識的に発生している独り言を意識的に方向づけることが匂いという側面からもできれば、独り言の楽しみがまた増えるように感じます。独り言と戯れるアイテムの一つになってきます。

 五感から独り言をチェック 音から 

 今度は、独り言の音に意識を向けてみます。どんな音が部屋の中でしているか、どんな音が独り言最中に流れているか、調べてみます。匂いと同じように無音ということはないかと思いますので、部屋という空間に広がる音に耳を傾けてみます。時計の秒針の音や隣りの部屋の物音や野外の音などが耳に入ってくるだろうと思います。

 自分の独り言も音としての側面を持っています。自分の独り言の音としてのリズムや流れを聞いてみます。どんなリズムで自分は独り言を言っているのか。早口でまくし立てるように独り言を発しているのか、それとも、ゆっくりと諭すように話しているのか。また、独り言中に話すリズムの緩急があるのか。低音と高音をどのように使い分けているのか。独り言の内容などは全く気にせずに音にだけ意識を集中させて特徴を掬い上げてみます。自分の独り言の音の流れを感じてみます。

 そして、外部の音が鳴っている空間に自分の独り言が音として交わる様子を観察してみます。時計の秒針のリズムに自分が発する独り言も音として影響を受けてしまっているのか。隣りの部屋から急に物音が聞こえたら、その音に自分の独り言がどんな変化を受けるのか。野外の音が入り易いように部屋の窓を開けたまま独り言を発したら、音としてどんな違いが生まれてくるのか。または、テレビをつけたままにしたり、音楽をかけたままにしたりすれば、どういふうに独り言が変わるのか。様々な外部からの音を自分で調整しながら、自分の独り言に外部の音が与える影響を調べてみます。

 次は、独り言を発する声とは別の音を自分で出してみます。足や指でリズムを取りながら、独り言を言ってみます。何か楽器が持っているならば、楽器を弾きながら独り言を発してみるのも良いと思います。その自分で作り出したリズムにどう自分の独り言が音として反応するのか見てみます。独り言のリズムだけでなく、メロディーにも目を向けてみます。

 ここまで確認してから、今度は音として自分の独り言そのものをイメージしてみます。自分の独り言を音で表すとどうなるか考えてみます。どのような音の流れを自分の独り言は有しているのか、掴んでみます。そして、それを楽器があれば楽器で、なければ手や足や指や口笛を使って、再現してみます。独り言の音、というテーマで曲を作ってしまいます。もちろん、ここでも5W1Hによって自分の独り言の音に変化が生じると思いますので、独り言の午前の音、午後のリズム、深夜のメロディーと何曲も作り出してみます。独り言を音で表現するという作業は、自分の独り言を色で表現したり、匂いで表したりすることと同じぐらい楽しいものになるはずです。

 また、自分の独り言と似たリズムや声質や間で話している人が他に誰かいないだろうかと探してみるのも自分が発する言葉の音としての側面を捉えるのに役立つだろうと思います。他人の話し方を観察することになりますので、先ずはじっくりと見つめても問題ないメディア上の人物の中から探し出してみます。テレビやネットを眺めている時に自分の独り言の音や言葉の流れと近い人はいないだろうかと調べてみます。その時、その人物が話している内容ではなくて、発する音にできる限り意識を向けてみます。それと同時に、話し方が好きな人物も探してみます。音のリズムや流れやアクセント、高音と低音の出し方や緩急を聞きながら、自分にとって好ましい発声というものを見つけ出してみます。

 そのように話し言葉の音に意識を向けてみますが、どうしても何を話しているのかという内容に引っ張られてしまいます。ですので、音に集中するために全く何も分からない外国語を話している人物の話す音を聞いてみるのも一つの手だと思います。また、話しの内容に引きずられないように、人の話し声を動物の鳴き声のように捉えてみるのも面白いだろうと思います。動物が鳴いたり、吠えたりするように人の話し声を聞いてみます。そして、どの吠え方や鳴き方が自分の独り言と似ているか、また、どれが自分にとって心地良いか探し出してみます。どうしても誰かが話していると何を話しているのかというコンテンツに意識が向かうように慣れてしまっていますので、音として聞く場合にはその点を十分に気をつけて対応する必要があります。

 五感から独り言をチェック 味から 

 次は、自分の独り言がどんな味がするか調べてみます。食べ物や飲み物の味が独り言の前と後、または最中に変わるものでしょうか。また、ある種の独り言を引き出してしまう味というものが存在するのでしょうか。さらに、いまいち調子が出ない独り言を元気にする味、また、反対に興奮しすぎた独り言を鎮めてくれる食べ物や飲み物というものがあるのでしょうか。その辺りのことを味覚に注視して自分で見つけ出してみます。

 まず、味の変化ということで、全く同じ食べ物や飲み物を独り言の前と後、そして最中に摂取してみて、違いを見てみます。何か味が異なるでしょうか。一度試してみただけでは、たとえ味の差があったとしても気づけないだろうと思いますので、何度もチェックしてみます。一度目では分からなくても、何度も同じ行為を繰り返すことでようやく気づけることもあります。独り言によって食べ物や飲み物の味が変わる感覚を味わってみます。

 また、一つの食べ物や飲み物の独り言を通じての味の変化だけでなくて、様々な食べ物や飲み物によって自分の独り言がどのような影響を受けるのかも調べてみます。独り言が味に与える影響と味が独り言に与える影響の両方を見てみるということです。これも繰り返し試してみることで、今、感じている独り言と味の関係が単なる思い込みでしかなかったと発見することになるかもしれません。それは新たな自分なりの気づきであり、楽しい驚きだと思います。
 匂いと同じように記憶に結び付いた味というものが存在すると思いますので、それも確認してみます。懐かしい味を思い出してイメージしてみます。想像するだけでどんなことが独り言に起こるか見てみます。そして、次は実際に思い出の味を再現してみます。記憶を呼び起こす食べ物や飲み物を口にすると、どんなことが独り言に起こるでしょうか。予想外の展開があるかもしれませんし、料理を作る新たな楽しみになるかもしれません。

 思い出の味を自分で再現するところまで来ましたので、今度は自分の独り言を料理で表現してみます。自分の独り言の味を料理として形にしてみます。自分の独り言はどんな味がするのかじっくりと観察したのちに、独り言ラーメン、独り言鍋、独り言みそ汁、独り言チャーハン、独り言フルーツ詰め合わせなどと独自の独り言料理作りに取り組んでみます。当然、5W1Hによって独り言料理のメニューもどんどんと増えてきます。

 そうなってくると、朝、昼、晩、三食すべてを独り言料理で埋めつくしてしまっても良いのではないかと感じます。そうすることで、独り言と味の関係を調べるだけでなくて、料理が趣味になる可能性があります。食事は毎日摂りますから、それがホビーになれば素晴らしいことだと思います。独り言料理の献立を考えながら、自分の独り言の味を見極めていきます。

 体調や環境や状況によって食べ物や飲み物の味は明かに変わってしまいますし、食べ物や飲み物によって体調や環境や状況は影響を受けてしまいます。ですから、味が独り言と何らかの関係を結んでいるのは確かだと思います。その影響関係が、独り言料理を作り続けることで少しずつ見えてくるはずです。

 独り言料理作りで自分の独り言を鍋で表現するのが一番しっくりくるとして、鍋でもキムチ鍋、寄せ鍋、もつ鍋など様々なものがありますので、独り言鍋の種類も細かく増やしていけばますます面白くなってきます。また、キムチ鍋でも豆乳入りやチーズ入りなど多々ありますので、独り言キムチ鍋もいろいろと枝分かれさせて広げていけば楽しいと思います。

 五感から独り言をチェック 感触から 

 それでは、五感の個別チェックの最後として独り言の感触を調べてみます。部屋の気温や湿度の変化が独り言にどんな影響を与えているのか、厚着と薄着でどう異なるのか、手足を冷ましたり、温めたりしたらどうか、シャワーとお風呂でどう変わってくるのか、布団や椅子の寝心地や座り心地がどれほど独り言に関係しているか、などを確認していきます。

 体と心の状態は、気温が高い、低いというだけでもかなり左右されてしまいますので、もちろん独り言も感触によって変わってくるはずです。独り言が発せられる場の手触りや肌触りという感触に焦点を当てて自分の独り言分析を行っていきます。

 また、個々の感触だけでなく、部屋全体の空間としての質感もチェックしてみます。居心地が良い空間と悪い空間とでは、どう独り言が変化するか確認してみます。気まずい人と気の置けない人のどちらを前にするかで自分が話す言葉や内容などコミュニケーション全体が変わってきますので、気まずい空間と落ち着ける空間とで独り言の内容も形式も流れも異なってきます。意図的に心地悪い場と心地良い場を作り出して、独り言の量と質の変化を見てみるのも面白い実験です。

 さらに、あらかじめ触覚に関する形容詞(暑い、涼しい、寒い、硬い、柔らかい、熱い、冷たい、痛い、痒い等)をピックアップしておいて、その形容詞に合う独り言とは一体どんなものだろうと想像してみるのも自分の独り言の感覚を掴む手助けになるはずです。独り言は当然、言葉を使って行われていますので、利用する言葉が異なれば自ずと独り言も変わってきてしまいます。だから、触覚を表現する語をたくさん目の前に並べて、それらから浮かび上がってくる独り言をチェックするという方法は、自分の独り言を別の角度から捉えようとしているとも言えるかもしれません。

 このように自分の独り言を触覚から見てみますが、何度か確認してみて、ある程度感触が掴めたら、今度は自分の独り言と触覚的に似たものが周囲にないか見渡してみます。探してみると、それは、座り慣れた椅子であるかもしれませんし、使い慣れたペンかもしれませんし、何気なく毎日使っているコップであるかもしれません。独り言の種類も一つだけではありませんから、それぞれの独り言の感触に合ったものを選び出していきます。

 そして、次は、自分で自分の独り言の触覚に合ったものを作り出してみます。自分の独り言の感触に似たものは分かりましたが、でもそれはあくまでも似ているだけでそのものではありません。自分で作り出してみることで限りなく自分の独り言の感触に近づいてみます。自分の独り言の手触りや肌触りや質感を表現する、独り言オブジェの制作に取り掛かってみます。

 ゼロから折り紙や粘土を使って表現してみても良いですし、すでに似た感触のものが手元にあるはずですのでそれを目の前に並べて色々と組み合わせてオリジナルの独り言オブジェに仕上げてみるのも楽しいだろうと思います。実際に自分で作り出してみることで、独り言の感触をまた違った側面から感じられるだろうと考えています。

 しかも、独り言オブジェは部屋の中に飾っておくことができますので、独り言中でもそうでない時でもいつでも眺められます。自分がどのように独り言を捉えているのか毎回、確認できます。鑑賞してみて、どうも少し違うと思うならば、新たに手を加えてみることもできます。変化する独り言に合わせて独り言オブジェを作り変えていくと面白いです。でも、独り言の感触を文字として書き記すだけでなくて具体的に視覚化したいだけですので、それほど生真面目に真剣に取り組む必要はありません。折り紙で何枚も独り言オブジェを量産して、部屋中の至る所に飾ってみるのも独り言オブジェの折り紙館、という感じで面白そうです。

 五感をミックスした視点から 

 五感を総合した視点ということで、色×匂い×××感触の独り言というものを見てみます。フルコースのように五感を活用して自分の独り言を感じてみます。五感すべてを刺激する活動によって自分の独り言を表現してみようということですが、それには味覚のところで利用した料理作りをここでも応用できます。料理は、見た目、香り、音、味、食感と五感すべてがミックスされています。フルコース独り言料理作りに挑戦してみるのが面白そうだと思います。

フルコース独り言料理の見た目・香り・音・味・食感とはどんなものかを先ず考えてみて、その次に全要素を組み合わせたフルコース独り言料理作りに取り掛かってみます。フルコースで様々なタイプの自分の独り言を表現することを目指してみます。フルコースですから、前菜からプリモ、セコンド、付け合わせ、デザート、そして、飲み物と自分の独り言に合った料理を作っていきます。

 それでも料理作りはあくまでも副次的なものであって、メインは自分の独り言の五感をミックスした表現です。料理は、作って食べてしまうと消えてしまいますので、メモを取って写真に収めたり、動画を撮ったりして、しっかりと記録保存して後からでも見直せるようにしておきます。

 フルコース独り言料理作りの他にも、花や野菜を育てるというのも一つのアイデアだと思います。独り言を五感を駆使して花として、野菜として表現してみます。一輪の花や一つの野菜で自分の独り言を表してみても良いですが、花壇や野菜畑などで多くの花や野菜を植えて総合的に表現してみるのも手だと思います。

そして、もうそうなってくると、フルコース独り言料理作りから始めて、すべての活動を、独り言+○○活動、としてしまっても良いのではないかと思います。独り言体操、独り言運動、独り言読書、独り言歯磨き、独り言掃除、独り言昼寝、独り言お風呂とあらゆる行為の前に独り言を付け足して、独り言中心のライフスタイルを目指してしまいます。そのように自分の生活を独り言漬けにしてしまうことで、自分の独り言とは一体何なのかを捉える機会が格段に増えてきます。

 でも、毎日、そのように独り言メインの生活を続けてしまうと、自分の独り言の移り変わりに鈍感になって何も変化を感じ取れなくなってしまう可能性があります。ですから、独り言強化週間や強化月間を設けてみるのも手だと思います。そして、その期間中は、すべては独り言のために、という感じて自分の独り言に捧げてみます。

 やはり、独り言分析調査は一度やってそれで終りという類のものではないですので、何度も試したくなるような方法を自分で探し出すことが重要になります。独り言探索と同時に分析方法にも目を常に向けておき、何か面白そうなアイデアが浮かんだら直ぐにそれを試してみます。同じアプローチばかりだといつも全く同じことを繰り返しているだけのように感じてきますので、そこも気をつけておきます。

 ここまで5W1Hと五感を中心に独り言に迫ってみましたが、次は、独り言のバリエーションを見てみたいと思います。5W1HWhoに当たる、誰に、または何に対して独り言を発しているかという独り言の対象について考えてみます。独り言の対象のバリエーションが豊かであればあるほど、自分の独り言を話す行為の一形態として利用していく際に役立ってくるはずです。

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